アコーディオンの歴史と特性=その3=

「アコーディオン・ジャーナル」1990年10月号に掲載されている「初めての人にアッピールのためのアコーディオン概論」という記事紹介の3回目です。

3.レパートリーは?
さて,今日アコーディオンと言いますと,一般にはシャンソンにつながるイメージがあるようです。確かに前述した『巴里の屋根の下』や,『パリの空の下セーヌは流れる』といった「古き良き時代」の唄にはアコーディオン伴奏がつきものですが,実はフランスにはシャンソンとは別に伝統的なアコーディオン独奏曲があり,現在でもフランスでは盛んに愛奏されております。

パリ裏町の踊り場(バル)のヴァルス・ミュゼットと呼ばれるジャンルの音楽がそれです。イベット・オルネルとかアンドレ・ヴェルシュレンなどはそのスーパー・スターで,ビートルズなんかより多くのレコードを出しているのです。

一方,アメリカに目をやれば,ポルカの王様といわれるヤンコビックやアート・ヴァンダムのアコーディオンによるジャズ・フィーリングは世界的に知られています。また最近では,よりエスニックなザディゴ・アコーディオンが人気を高めています。

フランスのバル・ミュゼット,アメリカのポルカ,イギリスのスコティッシュ,ポーランドのマズルカ,ドイツのマーチ,イタリーではカンツォーネ,スペインのパソドブル,アルゼンチンではタンゴ,スイスのヨーデル…などなど元来,地方の農民のお祭りか,あるいは下町の庶民の憩い場から生まれた音楽のお相手役がアコーディオンということであり,だから素朴さ,明るさ,哀愁などがその音色にミックスされているのでしょう。

そして私たちは,こうした音楽が,バッハやベートーヴェンより低級とは考えてはいませんが,ハイフェッツがある時,演奏の場で,お客さんたちがあまり聞いていないので,ヴァイオリンをしまって,その代わりアコーディオンを持ち出して弾いて引っ込んだという話が残っています。これは人によるとアコーディオンを侮辱的に使われたと感じたりしたものです。

しかしアメリカのチャールズ・マニアンテとか,ソビエトではユリ・カザコフなど,アコーディオンによるコンサート奏者が出て,クラシックも充分表現できることを実証しております。とくに序曲などは管弦楽とは違った軽快さで弾けるので,昔から独奏者の選曲の的ともなっています。これこそアコーディオンが“独りオーケストラ”と異名をもった由縁かも知れません。

現在,ソビエトでは,クラシックとオリジナル曲を弾くアコーディオニストの層は厚く,ピアノやヴァイオリンなみの国際コンクールも行われています。

ところで,スタンダードなアコーディオンではプロ用の120ベースでも左手は一オクターブの音域しかありません。そこでクラシック独奏用のために左手部も3オクターブ以上使えるボタンを加えたフリー・ベース・アコーディオンも今では各メーカーで作られています。そして国際アコーディオン・コンテストの出場者は,ほとんどその機種を弾いています。

また一方では,今のロック音楽の全盛がエレキ・ギター,シンセサイザーの普及で常識化されている中で,とくにアコーディオンが“なつかしの”楽器と見られるようですが,電子アコーディオンの開発も進み,シンセサイザー・アコーディオン,ミディ・ヴォックスが,すでに欧米はもちろん,日本でも実用性を買われております。

いまアコーディオンも,従来の定型リズム・コードの民族音楽一辺倒から,現代のニーズに応えるニュー・サウンド,ロック・ビートにも参加しているのです。 (つづく)
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アコーディオンの歴史と特性=その2=

「アコーディオン・ジャーナル」1990年10月号に掲載されている「初めての人にアッピールのためのアコーディオン概論」という記事紹介の2回目です。

2.全盛時代
日本へは,江戸時代の末期に,オランダの船乗りが置いていったのが最初で“音の鳴る小箱”が大変珍重され,当時,神社に奉納されたものが今でも残っています。もちろん小型のダイアトニック(ハーモニカ式)アコーディオンでした。その頃のヨーロッパでば“錨(イカリ)印”というのが普及していまして,今でもドイツあたりではアコーディオンのことを『船乗りオルガン』とも言うくらいです。何ヶ月も航海する時,甲板へ出てアコーディオンを弾き,家族と離れた寂しさを慰め,故郷をしのんだのだと思います。

大正時代には,富山からの薬売りが軍服の古着に身をかため,肩からアコーディオンをぶらさげて弾き唄い,街の子どもたちを集めていました。そしてみんなアコーディオンのことを“小田原提灯のお化け”なんて言ったものです。またピアノは洋琴,オルガンは風琴で,アコーディオンは手風琴が一般的名称でした。

1920年代から30年代にかけての西欧は軽音楽の全盛期でもあり,とくにフランスではほかの楽器の影がうすれるほどアコーディオンが時代の花形として活躍しました。ですから,昭和4年に映画『巴里の屋根の下』が入ってきて日本で空前の大ヒットをしたことで,そこに終始流れるアコーディオンの音が大衆に影響を与えたのは当然と言えましょう。

それを契機に街のカフェからアコーディオンの音が聞こえ,アコーディオンのレコード(無論SP)が売れに売れ,ついにレコード会社では古賀メロディーをはじめ当時の流行歌の楽譜をどんどんフランスヘ送って,それをアコーディオン奏者に吹き込んでもらい逆輸入して大変儲けました。

それまでハーモニカを作っていたトンボ楽器製作所では工員を大募集してアコーディオンの生産に全力を投じ,ヤマハでもオルガンの技師をアコーディオン製作に廻しましたが,品物は間に合いませんでした。

当時の一流月刊誌が「モボ(モダン・ボーイの略で,今なら進歩的エリート青年の意)の三種の神器(この言葉も今では知られないが由来はともかく『三つの条件』としておこう)とは,ダットサン(車),ライカ(カメラ),アコーディオンを持つこと」の記事を掲げたのは,現在60歳以上のアコーディオン・ファンなら懐かしい記憶として残っているはずです。

おそらく今の若い人には想像もつかないことでしょうが,当時,銀座,神田,浅草の楽器店では正面ウィンドーの一番目に付く所にアコーディオンを並べていましたし,アコーディオンの音楽会は日比谷公会堂を超満員にし,有楽町の日劇大劇場のまわりを幾重にも切符を買う人の列が囲んだものです。

しかし,それも日本が満州事変から支那事変[ママ],そして第二次世界大戦に入り,すべてご破算になってしまいます。でも戦中,戦後にかけて藤山一郎や岡晴夫がアコーディオンを弾きながら歌い,映画にもアコーディオンをかかえて出演してファンを熱狂させました。というのもそれまでの日本には,ほかの楽器が極めて少なかったことにもよると思います。

そして終戦後のアコーディオンには,少々イメージ・ダウンがありました。それは白衣の傷痍軍人が巷で,アコーダイオンを弾き,ほどこしを乞う姿がいたる所で目に付いたことからです。

またラジオからテレビになってしばらくの間,“素人のど自慢”の伴奏と言えばアコーディオンと決まった印象もありました。そして一方,当時台頭してきた歌声酒場で,ロシア民謡や労働歌を中心に,青年たちの意気を大いにかき立てたのもアコーディオンが役割を果したことでした。 (つづく)
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Tag:アコーディオン  Trackback:0 comment:6 

アコーディオンの歴史と特性=その1=

「アコーディオン・ジャーナル」1990年10月号に掲載されている「初めての人にアッピールのためのアコーディオン概論」という記事をご紹介します。
アコジャーナル1990年10月号
「1.その誕生」「2.全盛時代」「3.レパートリーは」「4.手軽に弾けます!」「5.規格と機能」「6.生産地」と題された6つの章から成る記事です。
表題

ピエロがアコーディオン弾いてる人形付きオルゴールを見かけたことありませんか。もともとアコーディオンって小箱のようで,それがふたつに割れてまん中の蛇腹がのび,長~くなったり,縮んだりしながら音を出す,愛嬌があって道化師にピッタリの楽器でもあるのです。つまり,オーケストラで常に使われるようなオーソドックスなものではなく,民族楽器の部類と言ってよいでしょう。

1.その誕生

アコーディオンは今からおよそ160年ほど昔,ウィーン(オーストリア)に住む家具商ダミアンによって発明されたと記されています。と言っても,わずか五個の指押板が並んでいるだけで,それでも蛇腹の押し引きで空気を入れたり出したりして鉄片(リード)を振動させることにより音を出したという発想は,現在の楽器のハシりには違いありません。

それはハーモニカが口で息を吹いたり吸ったりする代わりに蛇腹を使っただけのことですが,それによって弾き唄いができたりするメリットもあります。

ハーモニカと同じ原理で,押してド,引いてレ,隣のボタンヘ指を移して押してミ,引いてファ…と進みます。これがダイアトニック・システム(全音階方式)。

これでお気づきでしょうか,隣り合った2つのボタンを一緒に押したまま蛇腹を使えば,ド・ミやレ・ファが同時に鳴ります。和音(コード)が得られるわけで,“アコーディオン”の呼び名の由来もこの辺にあると考えられます。

やがて左手の箱にはベース・ボタンが付けられます。押して低いド,引くと低いソ。そしてもう一つのボタンは押すとド・ミ・ソの三音が同時に鳴り,引くとシ・レ・ファが出ます。これで右手のメロディーに自然と和音の伴奏が付けられるという,楽器としては大発見でもあったはずです。

ところが,これは一見便利のようですが,例えば『青きドナウ』を弾く時を考えてください。ド→ミ→ソ→ソー…となると蛇腹を押す連続ですから閉まって音が出なくなってしまいます。しかも,ソの音の時には左手のボタンからは常にド・ミ・ソのコードしか出ません。

そこで,一つのボタンを押し引き同音にして半音階に並べると共に,左半部のボタンも押し引き同音にしたものが,クロマチック・アコーディオン(半音階式)です。

さて,その後の時代となって,イタリーのある神父さんが野外へ出てキリスト教を伝道するのに,教会のオルガンを持ち出すわけにはゆきません。

そこでアコーディオンを思いついたのですが,ボタンではなく,オルガンと同じ鍵盤を右手につければ,そのまま讃美歌が弾けるということで改良させました。これがピアノ鍵盤式アコーディオンです。

フランス,ソビエト,北欧三国では圧倒的にボタン(クロマチック)・アコーディオンが多く,イギリス,ドイツ,オーストリア,スペインなどは半々ぐらい。

アメリカ,日本,中国ではほとんどピアノ式が使われています。 (つづく)
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Tag:アコーディオン  Trackback:0 comment:4 

ひょうたん

宇江佐真理の「ひょうたん」(光文社)を読みました。
ひょうたん
「織部の茶碗」「ひょうたん」「そぼろ助広」「びいどろ玉簪」「招き猫」「貧乏徳利」という6編からなる連作短編集です。

いつかのブログに、宇江佐真理は「江戸市井の人々の思いや出来事を、季節の移ろいに織り込んで温かく描く」作家だ、というようなことを書いたことがありますが、この「ひょうたん」も宇江佐節が遺憾なく発揮された良質の作品でした。

「BOOK」データベースには、次のように紹介されています。
本書五間堀にある古道具屋・鳳来堂。借金をこさえ店を潰しそうになった音松と、将来を誓った手代に捨てられたお鈴の二人が、縁あって所帯をもち、立て直した古道具屋だった。ある日、橋から身を投げようとした男を音松が拾ってきた。親方に盾突いて、男は店を飛び出してきたようなのだが…(表題作)。江戸に息づく人情を巧みな筆致で描く、時代連作集。

主人公は「鳳来堂」という中古の鍋釜、鉄瓶、漆器、たんす、ふとんなどを扱う古道具屋の主、音松。かつては博打などの道楽で何度も痛い目に遭うほど太平楽な暮らしをしてきた男。

音松の妻、お鈴はしっかりもので、このお鈴の力もあって一度は潰れかけた「鳳来堂」を日々の暮らしに困らないほどの古道具屋に…。

二人の間には10歳になる息子がおり、音松の兄が営む質屋に小僧として住み込んでいます。

お鈴は店番の合間に外に七輪を出し、魚を焼いたり煮物の鍋を掛け、季節に応じた旨そうな料理をこしらえることで近所中に知られる料理好き。晩飯時には音松の子どもの頃からの友人(酒屋の房吉、駕篭かきの徳次、料理茶屋を営む勘助)が集い、酒を酌み交わしながら泣いたり笑ったり…。

私のお気に入りは表題作の「ひょうたん」ではなく、「そぼろ助広」と「びいどろ玉簪」。「そぼろ助広」は、ある浪人が鳳来堂に持ち込んだ刀をめぐる話で、音松が質屋を営む兄に「鑑定」を頼むと…百両はくだらない名刀だと分かります。

音松は浪人のことを親身になって考え、刀を買い取らずに当座をしのげる1両を貸すことにし…浪人は国元での仕官が叶い刀を手放させずにいたことが「救い」となった、というお話。

「びいどろ玉簪」は、音松が留守のときに子どもが持ち込んだ簪(かんざし)をお鈴が買い取り、目を離した隙にお金と簪を子どもに持ち逃げされるというお話。騙(かた)りの裏にはその子らの義父の酷い虐待が…。

心が洗われる良質の短編集でした。
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初めての方が「ぞうさんの家」へ

今日の「ぞうさんの家」は「歌って楽しく」の日。

いつものように葛城市中央公民館へ。空気が澄み、屋敷山公園からは葛城山がいつも以上にきれいに見えていました。
畝傍の間
畝傍の間に入ると…先日の「ぞうさんバンド初出演」の動画を事務局の方々が見終わったところでした。「歌って楽しく」が始まるまで時間がありましたので、その動画を見せていただきました。
ぞうさんバンドDVD (2)
司会の部分は早送りし、演奏の場面だけを見たのですが…自分がアコを弾く場面が映ると、まさに「穴があったら入りたい」気分に。アコの音のまずさは分かっていましたが、演奏するときの表情にビックリ。ナント申しましょうか…オモロイ顔なんでゴザイマス。
ぞうさんバンドDVD
独奏曲を弾くときにはコワイ顔…というのは昔から自覚していました。歌伴奏するときにあんなオモロイ顔をしているのを初めて知った次第…。

今日は初めて「家」にお越しになった方があり、自己紹介をしたり「ぞうさんバンド初出演」の感想を述べあったり…。
自己紹介など
そのため、いつもより「歌」の時間が短かったのですが、ハーモニカ用(C)楽譜を事務局が用意して下さっていて、その楽譜で歌ったり、「朝ドラ」の挿入歌「広い河の岸辺」(スコットランド民謡)を歌ったり…。
歌って楽しく
Bさんが「ぞうさんの家」で作ることになるかもしれない「行灯(切り絵)」や「傘(折り紙細工)」の見本を持ってきて下さっていました。部屋を少し暗くして作品を見て…後日、作ることになるのかも?
行灯(切り絵) (3)
 行灯(切り絵) 行灯(切り絵) (2)
折り紙細工(傘)
畝傍の間からはすぐ近くにある中学校の運動会練習の声や音楽が聞こえてきていました。帰るときにのぞいてみると…組み体操の練習の真っ最中でした。
運動会の練習
しばらく練習の様子を見てから公民館を後にしました。
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プロフィール

キク

Author:キク
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旧「アコーディオン好きの徒然日記」ともどもよろしくお願いします。

◆松原アコーディオンクラブ・奈良アコーディオン愛好会・ぱすとらあるアコ所属。
◆日本アコーディオン協会評議員

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