「カレイドスコープの箱庭」

海堂尊の「カレイドスコープの箱庭」(宝島社)を読みました。
カレイドスコープの箱庭
現役医師が書いた小説を何冊か読んだことがありますが、この作者の作品は「螺鈿迷宮」と「ガンコロリン」だけ。最も有名な「チーム・バチスタの栄光」に始まる東城大のシリーズは読んでいません。そのバチスタ・シリーズの最後の小説が本作となるようです。

現役医師が書いた小説で「お気に入り」となったのは南木佳士の書いた数冊だけ。久坂部羊や結城五郎、米山公啓、春野ことり・・・あと何冊か読みましたが・・・最低ランクだったのが海堂尊の「ガンコロリン」。

何故そんなに評価が低いのに読んだのだ?、と問われると・・・巻末に「完全保存版!」と銘打って「海堂尊ワールド」(これまでの作品の相関図や登場人物相関図、作中の「用語解説」、「医療用語辞典」など)が掲載されていたため、としか答えられません。ただそれだけです。

「最終話」だけに、それまでのシリーズで活躍したであろう人物が説明抜きで登場します。ずっと読み継いでこられた方からすると、最終話だけを読んで文句言うな!、とお叱りを受けそうですが・・・医療制度についての記述は別にして、登場人物の描き方や説明に厚みや人間的な温かさを感じられず、少々ふざけすぎ、そしてこれが致命的なのですが、文が雑すぎる・・・やはり、オススメに値しない作品でした。

「BOOK」データベースには、次のように紹介されています。
なぜか出世してしまう愚痴外来の元窓際講師&厚生労働省の変人役人の凸凹コンビ、最後の事件!

閉鎖を免れた東城大学医学部付属病院。相変わらず病院長の手足となって働く田口医師への今回の依頼は、誤診疑惑の調査。検体取り違えか、それとも診断ミスか!?エーアイ国際会議の開催に向けて、アメリカ出張も控えるなか、田口&白鳥コンビが調査に乗り出した―。バチスタ・シリーズ真の最終章!

巻末に登場人物リスト&桜宮市年表&作品相関図など収録。海堂ワールドを網羅した完全保存版


この小説の骨格となっているのは、死亡時画像病理診断(Ai:エーアイ)。死亡時に、MRIなどで遺体を検査するAi(オートプシーイメージング)を提唱した本人が書いた小説ですので、作中の人物にAiの必要性を語らせていることは当然です。

作中では2つのことが同時進行します。そのまま引用すると・・・院内の診断ミスから起こった術死と、関連する部署への聞き取り調査。Aiへの反動勢力を抑え込むため機先を制して実施したAi標準化国際会議の準備と開催。

主人公は、神経内科学教室の准教授である田口医師。遺族のもとに匿名で病理の誤診だという内部告発があり、田口が調査をすると・・・結核結節と扁平上皮癌を誤診したことが判明します。

誤診ではなく、内部の人物による検体の差し替えが行われたことが厚労省の白鳥による「外部監査」によって明らかにされます。このときに使われたのが嘘発見器(実は、万華鏡=カレイドスコープ=)。嘘発見器というのはウソで、指紋を採取するためのものだったのですが・・・。

ラストの場面に「とかく人の世は、善悪が入り乱れた万華鏡の箱庭の世界」と田口の気持ちが語られる場面があります。この部分が「表題」として使われているのです。

Aiについては推進派と反対派に分かれているようですが、ずぶの素人である私にはいい勉強になりました。ただそれだけです。
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ジャンル : 小説・文学

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