「黒い巨塔 最高裁判所」

瀬木比呂志の「黒い巨塔 最高裁判所」(講談社)を読みました。
黒い巨塔
巻末に載せられている著者略歴を見ると・・・東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1979年以降裁判官として東京地裁、最高裁等に勤務。2012年明治大学法科大学院専任教授に転身。・・・などと紹介され、元エリート裁判官が描いた暴露本的な小説だと思って借りた「小説」です。

医学界の腐敗を描いた山崎豊子の「白い巨塔」は何度もテレビドラマ化されたり、映画化もされた傑作小説でした。

著者には失礼ですが・・・最高裁判所の腐敗を描いた本作、「黒い巨塔」は・・・まったく小説の体をなしていない駄作としか言いようがないお粗末な小説でした。

「BOOK」データベースには、次のように紹介されています。
最高裁に君臨する歴代最高の権力者にして「超」エリートの須田謙造最高裁長官。司法権力躍進のために手段を選ばぬ須田は、頻発する原発訴訟で電力会社に有利な判決を出すよう、事務総局を通じて裁判官たちを強引にあやつる。徹底的な信賞必罰による人事統制に恐れをなす司法エリートたちは、誰一人須田にさからえない。ソ連の強制収容所を彷彿とさせる思想統制に違和感を覚える民事局付の笹原駿は、図らずも須田と対峙する道を選ぶ。最高裁中枢を知る元エリート裁判官が描く、あまりにもリアルな、司法荒廃と崩壊の黙示録!

最高裁では国家賠償訴訟でなぜほとんど原告の主張がはねつけられるのか、刑事事件では100%に限りなく近く有罪判決になるのか、なぜ二審で原発訴訟がくつがえされるのか、自白強要や証拠ねつ造がまかり通るのか・・・日本の裁判について少なからぬ人が大なり小なり、疑問を感じている、そんな現実があります。

本作は最高裁で裁判官をした経験がある作者だからこそ描ける最高裁判所内の醜い実態が「告発」されていて、その点は評価できる「小説」ではありました。

が・・・この本の三分の一ほどは「小説」と呼べない内容です。最高裁判所内の人物についての「人格攻撃」的な描写が続くのです。そこに「小説」としての「物語」性など一切ありません。

おまけに(著者自身の)エリート意識むき出しの人間観が鼻につき、気持ちよく読み進めることができない評論的な前半部を我慢して読み終えると・・・前半部を「物語」として焼き直したような後半部へ・・・マイリマシタ。

最高裁上層部の政権与党いいなりの背景を描いたり「司法が立法や行政と一緒になって『政治』をやって」いる実態を告発していることは評価しますが・・・ただ、それだけです。

小説とも呼べない「小説」もどきで、ではなく、本業の「学者」として、同じ危惧を抱く多くの法曹関係者と共に「行動」を起こしてほしいと願うだけです。
スポンサーサイト
テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

Tag:読書  Trackback:0 comment:0 

Comment

comment form
(編集・削除用):
管理者にだけ表示を許可
プロフィール

キク

Author:キク
FC2ブログへようこそ!
旧「アコーディオン好きの徒然日記」ともどもよろしくお願いします。

◆松原アコーディオンクラブ・奈良アコーディオン愛好会・ぱすとらあるアコ所属。
◆日本アコーディオン協会評議員

カレンダー
10 | 2017/11 | 12
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
検索フォーム
QRコード
QR