「緋色からくり」

田牧大和の「緋色からくり」(新潮社)を読みました。
緋色からくり
お気に入り時代小説作家の一人です。もちろん例外はありましたが、読みやすい文章を書く作家で、筋立てにも無理はなくて一気読みさせられてしまう作品が多い魅力的な作家です。

本作は作家デビューして2年後の作品(2009年発行)ですが、田牧大和らしさをタップリと味わえる良作でした。

「BOOK」データベースには、次のように紹介されています。
姉と慕ったお志麻が殺されて四年。猫の大福と暮らす緋名の家に、用心棒になりたいという侍、康三郎が現れた。その直後に、賊の襲撃。この男が、殺しのかぎを握っているのか、それとも―。疑心が渦巻くなか、謀略のからくりが、黒幕へと緋名を導きはじめる。仇討ちの果てにあるのは―。心が折れそうなときは、助けておくれ、大福―天才女錠前師お緋名、命懸けの仇討ち始末。

主人公は、錠前師の緋名(ひな)。母を6歳のときに亡くし、錠前師だった父を4年前に亡くし・・・父から仕込まれた錠前師の腕は父以上で、父が生きていた頃には「緋錠前」という複雑なからくり錠前を緋名のアイデアをもとに父が拵え、どんな錠前破りでも「緋錠前」と知ると「尻尾を巻いて逃げだす」ほど・・・。

その緋名をずっと支えてくれていたのが髪結いのお志麻。

昔、緋名の両親は3歳のときに両親を亡くした甚八を引き取り、髪結いの親方に弟子入りするまで緋名といっしょに育てていました。緋名の母親が亡くなったときに緋名の叔母といっしょに駆けつけてくれたのが緋名の従姉にあたるお志麻。

お志麻はそれ以来、緋名にとっても甚八にとってもかけがえのない存在となります。・・・月日は経ち、お志麻は伝六という目明かしと夫婦となり、孝助という息子をもうけたのですが、伝六が7年前に殺され・・・髪結い床『甚床』の主となっていた甚八と夫婦約束をしていました。

ところが、4年前に髪結いに出かけた得意先で、連れていた六歳の孝助の目の前でお志麻は何者かによって殺されてしまいます。

物語は、この2つの事件の真相が明らかになったところで終わります。「探偵」役はもちろん、緋名。

緋名が過去の事件の真相を突き止めようとしたきっかけは、緋名が独り暮らしをする家に空き巣が入ったこと。孝助の父親となっていた甚八は、榎康三郎という謎の侍を用心棒として雇い、緋名を守ろうとします。

この出来事があって以降、きな臭い匂いが・・・「仇」が再び動き出したのです。用心棒として雇われた康三郎の正体が謎に包まれ、スリルある展開となります。登場人物が多彩(辰巳芸者の祥太や三角屋の跡取りとなる徳太郎、黒鉄屋の若旦那・与次郎、そして猫の大福・・・)で、謀略のからくりが明らかになる過程をタップリ楽しむことができます。人物の描き方がていねいで、単なるミステリでなく人情ものとしても良い出来具合。

ご一読あれ・・・。

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ジャンル : 小説・文学

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