「家族写真」

荻原浩の「家族写真」(講談社)を読みました。
家族写真
この作家の作品では「押入れのちよ」だけが例外で、あとは読後感のよい作品ばかり・・・オススメの作家です。

「結婚しようよ」「磯野波平を探して」「肉村さん一家176kg」「住宅見学会」「プラスチック・ファミリー」「しりとりの、り」「家族写真」という7編からなる短編集です。

「BOOK」データベースには、次のように紹介されています。
娘の結婚、加齢に肥満、マイホーム購入…家族に訪れる悲喜こもごもは、ささやかだけど大事件。笑ったあとに、心にじんわり沁みてくる、これぞ荻原浩!の極上家族小説。

主人公はすべて男性(「家族写真」だけは少し複雑))です。主に中高年男性の複雑?な心境が描かれた短編集です。中高年の悲哀を様々な角度から描き、思わずニッと笑ってしまうようなユーモア溢れる作品や切なさを前面に出した作品など、どの短編も味わいが異なっていて、中高年男性がお読みになればきっと一つや二つは共鳴できる作品に出会える、そんな短編集でした。

印象に残った短編を少しだけ紹介しますと……

◆「結婚しようよ」
16年前、妻が44歳の時に他界。長男は3年前に結婚して家を出て、今は娘の準子と二人暮らし。妻の泰代と出会った頃のことや妻が亡くなって以降の生活のことを振り返りながら、娘が結婚して家を出るまでの「私」の心境を語る物語。

泰代と結婚するときの「私」の思いと重ね合わせながら、娘の結婚相手と初めて会ったときの複雑な父・「私」の心境が語られる場面はナントモ言えない味わいがあります。

◆「磯野波平を探して」
『健康であることは大切だ。長生きをしたいのも確か。だが、それと、年齢に逆らって若く見られようとすることは、別問題じゃないのか。実年齢よりも上に見られようが下に見られようが、年々、残り寿命が目減りしていくことに変わりはないのだ』『若さイコール善。そうした一面的な価値観に縛られているから、俺たちの人生は窮屈になっているんじゃないだろうか。』などと考える「俺」が見習うべきは磯野波平、54歳。

サザエさんち(磯野家)の年齢構成図を見ると、磯野波平(54)。フネ(推定50)。サザエ(24)。マスオ(28)。あと2ヶ月で54歳になる「俺」は波平を「老人」だと思っていたことにショックを受けます。波平と同じ年になる日がまもなく来ることに訳もなく焦燥感を覚える「俺」が考えるこれからの人生。

◆「家族写真」
瀬戸内海の沿岸にある町で写真館を営む父が脳梗塞で倒れたことをきっかけに、離ればなれになっていた3人の兄弟が「地元」に戻り、「家族」を取り戻す物語。家を出ている春太と夏乃、父の仕事を手伝う「ひきこもり」だった葉月の3人の視点で描いた物語です。

それぞれの短編に異なる味わいがあり、読み応えがある短編集です。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

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