「蛇行する月」

桜木紫乃の「蛇行する月」(双葉社)を読みました。
蛇行する月
「1984 清美」「1990 桃子」「1993 弥生」「2000 美菜恵」「2005 静江」「2009 直子」という6編からなる連作短編集です。

主人公としては登場しませんが、この短編集の全てに登場し、裏の主人公となるのは須賀順子。

「お世辞にも進学校とは言えない」道立湿原高校の図書部員だった順子は、現代国語だけは百点であとは赤点という生徒でした。百点を取り続けた理由は、教科担任の谷川が好きだったから。

高3の夏休み、ついに順子は告白するために教員住宅に住む谷川のところに押しかけ・・・もちろん谷川は部屋に入れずに玄関先で押し問答するところを他の教師に目撃されてしまいます。

2学期になって、谷川は教科担任から外され、順子は夏休みが明けても1ヶ月近く登校しないという騒動を図書部員という立場で「共有」している人物4人と夫の恭一郎が失踪(順子と駆け落ち)して新たな店を開こうとしている弥生、順子の母親である静江が各短編の主人公となります。

「BOOK」データベースには、次のように紹介されています。
人生の岐路に立つ六人の女の運命を変えたのは、ひとりの女の“幸せ”だった。―道立湿原高校を卒業したその年の冬、図書部の仲間だった順子から電話がかかってきた。二十も年上の職人と駆け落ちすると聞き、清美は言葉を失う。故郷を捨て、極貧の生活を“幸せ”と言う順子に、悩みや孤独を抱え、北の大地でもがきながら生きる元部員たちは、引き寄せられていく―。彼女たちの“幸せ”はどこにあるのか?

全ての短編に登場する順子は高校を卒業した翌年の冬に20歳も年上の職人(その妻が弥生)と駆け落ち。故郷を捨てて東京へ。東京で運よく宝食堂というラーメン屋を営むこととなり、化粧品を買い求めることもせず(できず)、着るものにもお金をかけることができない極貧と言っていい生活を続けます。

そんな生活を送りながらも、各短編に登場する「主人公」たちに今の自分は「幸せ」だと言い切る順子。最後の短編では・・・大学院に通いながら教授の設計事務所でアルバイトをしている息子が卒業後にはその設計事務所に正式採用してもらえそうだとうれしそうに語る順子のことが描かれています。

順子はある病に冒され、余命数ヶ月だと自覚しているのですが、そんな状況下でも「幸せ」を感じている順子。

一見不幸な生活を送りながらも人生を前向きに生きる順子と対比させながら6人の女性(その内4人は元図書部員)の卒業後のさまざまな葛藤を描いた物語となっています。高校卒業から足かけ26年にわたる女性たちの物語。

お若い女性(オジサンでもOKかも)にはオススメの一冊です。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

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