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「五弁の秋花―みとや・お瑛仕入帖―」

梶よう子の「五弁の秋花―みとや・お瑛仕入帖―」(新潮社)を読みました。
五弁の秋花
「ご破算で願いましては―みとや・お瑛仕入帖―」に続く、シリーズ2作目です。

「鼻下長物語」「とんとん、かん」「市松のこころ」「五弁の秋花」「こっぽりの鈴」「足袋のこはぜ」という6編からなる連作短編集です。

前作を読んで「この作者は人物描写が粗いのかもしれません」とブログに書きましたが、シリーズ2作目では人物描写の粗さが気にならなくなり(相変わらず「深み」はありませんが)、物語の展開を純粋に楽しめるようになりました。

「BOOK」データベースには、次のように紹介されています。
鍋釜から、手拭い、紅まで店に並ぶものは三十八文均一の「みとや」。猪牙舟を漕がせたら船頭も怖れる看板娘・お瑛と、極楽とんぼの兄・長太郎が切り盛りする。ある日、お瑛は売り物の簪が一本足りないことに気づく。消えた簪を探すうちにお瑛は、その意匠の秋の七草から、元吉原の花魁・お花にたどりつくのだが…。江戸下町の人情あふれる時代連作短編集、シリーズ第二弾。

本作の柱?となっているのは・・・お瑛の容姿(背が低く、丸顔でちんまりした鼻)と兄の長太郎の容姿(背が高く、瓜実顔で目が大きくて高い鼻)との違いに引け目を感じてきたお瑛ですが、もしかするともらわれてきた子なのかと気を揉むきっかけとなる錦絵を見つけたこと。

「鼻下長物語」というのは芝全交作の黄表紙(江戸中期以降に江戸で流行った絵本のジャンル名)。鼻下(口のこと)から出る長い物語(早口言葉の絵本)の題名。

長太郎が店じまいする絵双紙屋から安く仕入れてきた黄表紙の中の一冊に鼻下長物語があり、それを手に取ったときに折り畳まれた紙片が落ちてきたのですが・・・母娘の姿が描かれた錦絵で、そこに描かれた景色を幼い頃に見た覚えがあり胸がざわつくお瑛。描かれている「母」が死んだ母親に似ていることもあり、この錦絵がいつどこで描かれたものかを追い求めていくことになります。

6つの短編はすべて異なる話ですが、全編で錦絵の謎を追い、この錦絵に描かれた母娘が昔のお瑛と母だったことやお瑛が知らなかった過去が明らかとなります。

肝心の各短編のことですが・・・前作よりもドラマチックで読み応え感が増したということは確かです。

元花魁のお花が50代半ばとしか見えない婆さん(実は50前のお花の母親)といっしょに惣菜売りの四文屋をみとやの近くで始めたこと、辰吉という船頭が新しく登場してお瑛ともしかすると恋仲に?と思わせるような展開があったり、幼馴染みのおせんとの確執が描かれたり・・・シリーズ1作目とはずいぶん方向性が変わってきました。

シリーズ3作目がおそらく来年(か、おそくとも再来年)には出版されるのだと思いますが、それを今から楽しみにしています(忘れてしまってるかも)。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

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