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「天使の屍」

貫井徳郎の「天使の屍」(角川書店)を読みました。
天使の屍
最新作の「壁の男」が意外にも良作だったため、期待して借りた小説です。本の装丁がきれいだったために最近出版された本だと勘違いして借りてしまいました。出版されたのは1996年で、初期の作品でした。

またツマラナイ作品だろうと思いながら読み進めていくと・・・やはり「壁の男」とは大違い。重い作品ではありますが、非現実的な内容で作りすぎ。思春期の難しさの描き方に不満はありませんが、自殺の動機や決行方法に合理性がなく、おまけに主人公の有り得ない行動に興ざめさせられる・・・読後感のよくない作品でした。

「BOOK」データベース(文庫版)には、次のように紹介されています。
思慮深かった中学二年の息子・優馬がマンションから飛び降り、自殺を遂げた。動機を見出せなかった父親の青木は、真相を追うべく、同級生たちに話を聞き始めるが…。“子供の論理”を身にまとい、決して本心を明かさない子供たち。そして、さらに同級生が一人、また一人とビルから身を投げた。「14歳」という年代特有の不可解な少年の世界と心理をあぶり出し、衝撃の真相へと読者を導く、気鋭による力作長編ミステリー。

主人公は、イラストレーターとしてそこそこ名前の知られた青木。青木は妻の美保子と中学2年生の優馬と三人で暮らしていましたが・・・ある日の夕食を終えた時間帯に優馬がコンビニに文房具を買いに行くと言ってマンションを出て・・・飛び降り自殺。

夕食時に「いじめられて自殺する奴なんて、馬鹿だよ」と強い語調で言っていた、そんな優馬が自ら命を絶つとはとうてい考えがたい青木。

優馬の遺体は監察医務院で解剖されることになり、青木は警察での聴取を終えて家に戻ります。勇馬の部屋に入ると、机の上には「何もかもいやになった。絶望だ。」と殴り書きされた「遺書」らしきものを見つけます。

翌日になって捜査令状を手にした刑事がやってきて、優馬の部屋を捜索。遺体解剖の結果、LSDをやっていたことが判明したためでした。

葬儀を終えてからも何度かやってくる刑事。優馬の死は自殺という方向で処理されそうな雲行き・・・納得できない青木は仕事を休み、優馬の死を謎のまま終わらせないために「自殺」の理由を明らかにするために動くことにしたのです。

その後、優馬の友だち3人が連続して(LSD検出)自殺を図り、最後の一人だけが運よく骨折だけで済み、助かった中学生から真実が明かされることになります。

青木が瀕死の重傷を負わされたり、素人「探偵」の身にふりかかる災禍。

この小説が書かれた当時の世相を反映(今も続いていますが)して、受験戦争や青少年への薬物の浸透、そして思春期の性への興味等々、様々な問題が描かれています。

ネタバレになってしまいますが・・・連続した自殺のうち1つだけは他殺。助かった中学生に「木は森の中に隠せ。他殺は自殺の中に隠せ」と青木が語る場面が最後の方にあります。

一人を殺すために他の3人が自殺する・・・無茶な設定に???
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

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