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「ふくろう」

梶よう子の「ふくろう」(講談社)を読みました。
ふくろう
ネットで調べたことなので正確かどうか???ですが、この小説のモデルとなったのは、実際にあった江戸城中での刃傷事件。

江戸城中での刃傷事件は記録に残るもので7件あり、有名なのは仮名手本忠臣蔵として人形浄瑠璃・歌舞伎で人気を博し、今も映画やテレビドラマで題材とされる「赤穂事件」。これは18世紀初めの事件です。

この小説で取りあげられているのは、19世紀初めに起きた「千代田の刃傷」と呼ばれる事件で、これも歌舞伎とし上演されたり小説化されたりしている有名な事件です。

史実はほんの一部で、史実に作者が多くの脚色をして出来た小説のようです。

「BOOK」データベースには、次のように紹介されています。
伴鍋次郎は西丸書院番士に引き立てられるが、両親はなぜか狼狽する。町で会った初対面の老武士には「許してくれ」と土下座され、不審は募るばかり。そんな矢先、家で書物の整理をしていると、「鍋次郎」と記された自分の名前の位牌と、父の昔の日記を見つける。日記には、鍋次郎が生まれたころの記述だけが欠落していた。自分は養子だったのか?己の出生の真相に迫る鍋次郎。私はいったい誰なのだ。ふくろうの根付にこめられた我が子への願いとは。若手注目株の長編時代小説。

物語は、西丸書院番士(将軍世嗣の住まいである西丸の警備と外出時の補佐役)として出仕することが決まった伴鍋次郎が自分の出生の秘密を妻の父(剣術道場師範の高萩惣吾)から聞かされたことが主な内容となっています。

物語の主人公は鍋次郎なのですが、内容的には実の父である松平外記。「ふくろう」では鍋次郎が松平外記の次男となっていますが、これは作者の創作のようです。

伴家では男子を続けて二人亡くし、ある事情(これがこの物語の大半を占めます)があって養子として迎えた鍋次郎を「実子」として育ててきました。

この「事情」を知ることとなった鍋次郎の物語なのですが・・・繰り返しになりますが、実質的には実父である松平外記の物語。ということで、鍋次郎のことは省略し、松平外記について少しだけご紹介します。

松平外記は高萩惣吾の親友で、西丸書院番士として誠実に務めていた人物。当時の西丸書院番では風紀が乱れ、新しく任に就いたものは三月ももたずに辞するということが続いていました。新任の者がいつ書院番を退くかを賭の対象にするという乱れぶり。

新任には徹底的な嫌がらせ(いじめ)が行われ、外記に対しても読んでいて気分が悪くなるような「いじめ」の数々が・・・。

外記が先輩たちと異なっていたのは、刃傷沙汰を起こしたこと。城中で3名を切り捨て、他にも2名に手傷を負わせ、自らは切腹・・・結果、城中の悪しき慣習は改善されることとなります。

「千代田の刃傷」と呼ばれる事件に作者独特の脚色をして、読む者に感銘を与えるような時代小説として描きあげた作者の感性に感服させられました。

ご一読あれ。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

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